もう、かなり長い時間が過ぎた。いつまでこうしているつもりだろう。
既に抵抗することもないあたしのカラダ。
痺れた指の感覚が戻るまでどうか自由にしてください。
あの拒絶反応が今は愛しいぐらい懐かしい。

「そぅ・・・。もっと深くゥ。・・・そうだ」
最初は噎せるばかりだったはずの行為が
既にのどの筋肉を収縮させれる程の成長した。
望んだことではなくても人間の学習能力はきちんとあるらしい。
快楽に仰け反る相手の姿も既に見なれた物だ。
最初はただただ嫌悪感で一杯だったのに。

 暗い見なれた教室がいつもにまして濁って見える。
濁っているのは教室の空気か?それともあたし自身の目か。
「そうだ。上に・・・上に乗るんだ。そうじゃない」騎乗位は嫌いだ。
相手を愛している場合はいいが、愛していない場合は、苦痛でしかない。
本意ではないのに、相手を感じさせている。
まるで自分の意志でしているかのように。
接合部から厭らしい擬音がする。耳を覆いたい。できない。
厭で厭で仕方がないのにどうしてあたしは濡れてしまうんだろう。
音の原因だってあたしのからだから染みでたモノのせいなのに。

 その刹那、男の様子が変わる。あたしの様子は変わるはずなかった。

 やっと解放されたのはすでに八時を廻っていた。
カラダを引きずるようにして帰宅する。
ドアを開けると母親が立っていた。
「おかえり。随分おそいのね?」
口調こそ、静かだがその言葉には怒りの感情が塗込められていた。
何より神経質な母の目がいつもにもまして、あたしを詰問する。
「舞の家に寄ってたの。ごめんね」と母の横をすれ違う。
目はあわせられない。
「携帯、こういう時の為に持たしいるんだから、ちゃんと連絡しなさいよ。
 何度も電話したのにでないんだから!」

 母の声が耳を掠めながら自室に戻る。
ブレザーの内ポケットから携帯を出すと母からの着信が数件と、
もう一つ留守電が入っていた。聞いてみる。

「理恵子ォォ。今日もすっごく良かったよォ。次は来週の火曜日だ。
 また、資料室で待っているからな。逃げられるなんて思うなよ。
 卒業しても食い付くシテやるからなぁ。一生お前は俺のモノだ。」
 教師とは思えない、まるで変質者の様な声が入ってた。携帯を机に置く。

 あたしは菅田 理恵子。
市内でも、有名な俗に言う「ワル」の集まるらしい中学に通う
現在中学3年生。
 学校は相当荒れている。
あたしも例にもれず荒れている・・・というか、
コギャルと言われるタイプだ。
ピアス・茶髪・ミニスカート・化粧・煙草・バイクなんかは
当たり前で、もっと酷いことを平気でやってのける仲間もいる。
あたしは法に反していない事をしているどまり。
今さら進む気も戻る気もないけどね。
そんなあたし。そんな学校。電話の主はあたしの通う学校の数学教師、近藤。

 あたしが彼氏のサトルと視聴覚室に忍びこんでセックスしていた時、
悪趣味にも覗いていたんだ。しかも一部始終をビデオに録画して。
 次の日あたしだけが呼び出されてそのビデオを見せつけた。
さすがにすごく驚いた。
二三台、仕掛けてあったらしくアングルも数種類あって、
編集までされていた。まるで、ホンモノの覗き系AVの様に。
解説まで織りまぜての上演会。近藤の異常な精神構造が伺える。
ちなみにあたし達の友人の間では視聴覚室は授業をサボって
セックスする場所だったんだけど。

 近藤の話では時々こうしてカメラを仕掛けているらしい。
そしてごく稀に、生徒同士の姦淫現場が録画できるらしい。
近藤が持参したくろい、皮のボストンにはあたしらのビデオ以外に
10本ぐらい奴のコネクションが入ってた。
綺麗に張られたレーベルには友達カップルの名前や日付けもあった。
しかも簡易な評価付き。

 しかし、いつもはビデオを録画するだけで満足していたはずの近藤は
あたしにだけは違うかったらしい。
以来ビデオを盾に呼び出され、その度、犯されている。
そんな関係がもう2ヶ月も続いている。
あたしは罠に入れられた。
もがけばもがく程、悪転しかしない事体。
だんだん抵抗する気力もうせ、泣きもしなけりゃ叫びもしなくなったあたし。

 もちろん、彼氏のサトルに犯されたことを告白した。
そしたら職員室で事もあろうに近藤をメチャクチャに殴りつけたのだ。
サトルはもちろん謹慎処分を受けた。停学処分。
理由をしつこく他の教師に聞かれたサトルは口を割らなかった。
あたし達が視聴覚室でセックスしたってことよりも、
あたしが近藤にレイプされたことを
ほかの無神経な教師達や生徒、親達にさらすことをサトルは嫌がったからだ。

 サトルが停学になってからというもの、あたしは完全に近藤の所有物と化した。サトルにもあれ以降近藤とは関係してないと言い張っている。

 もし、今も関係していることがバレたら、
サトルは今度こそ近藤を殺してしまうかもしれない。
 そうなれば、停学なんかじゃ済まない。
あたしが、黙っていればいいことだ。
そうしたら、大好きなサトルを守れる。

どうせ、卒業すれば近藤も追っては来ない。
あと数カ月だ。
あたしは決して学校では真面目な生徒ではなかったかもしれない。
でも、大切な人は守りたい。これは愚かな方法だとわかっている。
 でも、どうしていいか、あたしには解らない。
できることはいつか明けるはずの夜をただ、目を瞑って待つことぐらいだ。

 いつのまにか、眠りに墜ちていたらしい。制服をきたまま、眠っていた。

 近藤にヤラレた日は何故だか無性に眠くなる。いつの間にか来た朝。
風呂に行きシャワーを高温に設定し一気に体に浴びる。
躯に刻まれてしまった、近藤の跡が昨日より濃くなっているのを鏡で見つけ、舌打ちする。
ジンジンした湯が今日も自分が生きている証明のような気がした。

 通学し、いつもどおり授業を受ける友達との他愛もないおしゃべりはあたしが普通でいられる唯一の場所かもしれない。
 次は・・・数学だ。昨日に引き続きあたしに近藤の授業は不快を与える。


近藤が黒板に問題を書き、みんなに解かせている間に、近付いてくる。
こっちを見ていることは解る。視姦されていることも。
あたしはたまらずノートに目を落す。

 案の定、近藤は接近し、あたしに囁く
「菅田ァ。前回の小テスト、白紙でだしていたよな。解らなかったのか?
 だめじゃないか。補習してやる。放課後職員室の僕の机にくるように」
白紙で出した覚えはない。
さすがのあたしも、あえてそんな、目立つ行為などする気もない。

 放課後職員室ヘ行く。
フケる事も可能かも知れないがやはり、
あたし自身ビデオの存在は心配だった。
断ればそのビデオを使いあたしに罰を与えるだろう。
ばらまくことも可能だし、裏に流すことも。どちらも御免だった。

 近藤の机に行く。近藤の机は職員室の奥ばったところにある。
周囲の机に教師はいない。
よく来た、よく来たと言わんばかりに脂ぎった微笑みであたしを迎える。
既に勃起している。

 近藤の前に立つといきなり、「下着を下ろせ」と命令する。
ドキッとする。行動を起こさないあたしを見て「早くしろ」とけしかける。
いくらすぐ近くに教員がいなくても、何人かはいる。
 いつくるかも分からない。
首を降ると、いらだった、近藤ははさみを机の中から取り出した。
そして「声を出すなよ」といい、スカートを少し持ち上げ、
はさみをあたしのパンティーに入れだした。

 ジョキッ、ジョキッと下着の切れる鈍いおとがする。
足の下には切り刻まれた下着の切れ端が舞う。
 一通り下着を切り取ったあと、
「よし、そのまま、オナニーしろ」と小声で命令をかける。
またしても行動を起こそうとしない、あたしを見兼ねて、
「どうした?毎日大好きなサトルを思い出してオナニーしている理恵子ならできるだろォ?」と、卑猥な言葉を吐く。
 まったく、言葉攻めと言う物は大好きな人にしてもらうなら
素晴らしいスパイスになるのに、
どうしてこういう奴が言うと吐き気がするのか。

 「なんだ?してほしいのか?しかたないな?」
ひとりよがりなやつってホント困る。
あたしを自分の座っているイスに更に近付け、指をスカートの奥へ。
切り刻まれながらも今だあたしの下腹部を覆う健気な下着を引きちぎり
、太い指を挿入した。
「ほぅら、理恵子の膣が嬉しがってるよォ。」といって激しく摩擦する。
羞恥で唇を噛む。ジュプジュプ音がする。
クリトリスを見つけ捻り上げる。
「あふっ。」ついに声を出してしまった自分に舌打ちする。

 「ほらほらほら。ほかのセンセイに聞こえちゃうぞォ。
  理恵子がスケべなこと、みんなにばれちゃうぞォ」
「や・・・やめてぇ」

 その時、先生の一団が職員室に戻ってきた。
ヌチャっと膣から指を引き抜くと真面目な教師の顔に立ち戻った近藤。
「わかったか?菅田。じゃあ、資料室に行ってくれ」と鍵を渡す。
 あたしに鍵をわたしながら
足で下着の切れ端を机の下に隠すように潜り込ませることも忘れない。

 いつものごとく、カビ臭い資料室。
資料はうっすらホコリをかぶり、
無意味に地球儀やら割れた教員用の大きな黒板用分度器や、
なぜかおそらくは校長室にあったであろう、
廃品のソファーなんかが、置いてある。
 資料室とは名ばかりなハッキリ言って廃物置き場だった。
がっこうの最上階の一番隅の教室、
なので淫行に耽るにはぴったりかもしれない。
ぼーっとしていると、近藤がやってきた。
「この資料室も慣れた物だろう?」などとほざいていた。
「次は今度の火曜日だっていったじゃない」と不満を口にしてみた。
「ふん。お前に選択権なんてない。
 俺のしたい時がやるときなんだよ!さぁ、いつもみたいに全部脱げよ。
 可愛がってやるよ」

 ブレザーを脱ぎ落す。
ブラウスのボタンを外しスカートを下ろす。
下着は切り刻まれてもうなかったから、スカートを脱いだらもう、
なにも隠してはくれない。
 ルーズソックスに手を掛けようとすると
「ルーズは脱ぐな」とマニアックな注文が入る。なんじゃ、そりゃ。
 腐ったペニスを引き出し、
「しゃぶれよ。教えたとおりにな!」などと言う。
教えられた覚えはないんだが。
しゃぶったら、しゃぶったで勝手に喘ぎはじめて、自分勝手に腰を動かす。
半ばうんざりする。

 「最近大好きなサトルとは、エッチしているのかァ?」
していなかった。
こいつに犯されまくって言い様にされているカラダを見せたくなかった。
カンのイイサトルにはすぐばれてしまいそうで顔をあわせていない。

 「ふふん。俺をメチャクチャに殴りつけたサトルの女を
  今俺はいいようにしているんだからな」と悦に入ってる。
 既にあたしの事は生徒とは見ていないようだ。
性欲処理のモノと見ているらしい。
「クラスでイキがってたお前も今はこの通りよ。
 サトルのはもう飽きたんじゃないのか?」といって、
あたしの口から汚れたペニスを引き出し
わざとあたしのクリトリスに擦り付ける。
「あぅぅん」声がもれた。
「職員室でも見られて感じてたんだろ?」
「や・・やめてぇっ。かんじてない!」首を振る。
「ほら。そろそろオチンチンがほしいんじゃないか?サトルとの時みたいに激しくよがっておねだりしてみろよ」

 サトルとの時ー多分ビデオの事を指しているらしい。頭に血が昇る。
アレのせいであたしもサトルも狂わされたんだ!
サトルは停学。あたしは好きでもない男の性具に!

そして思わず口から出た言葉。
「あふぅぅん。ほしいのぉ。先生のがほしぃのぉ」
最後の幸福をセンセイに与えるために。
あたしは生まれてはじめて自分に賭けてみた。

 近藤はあたしの疑似餌のおねだりにまんまと引っ掛かり、
嬉しそうにペニスを挿入した。
そして、一人で絶叫して・・・・絶えた。

 あたしはカラダを離して、服を着る。
2回目があるものと勘違いしていた近藤は驚いてあたしの腕を掴む。
 あたしは振り切り、かっちり制服を着込む。
そして一言「あたし、今迄のこと、おかぁさんたちに話します」
と言ってみた。その瞬間、近藤の顔色が変わった。近藤はかかったのだ。
抜けられない罠に。

 「な!?何言ってるんだ?誰も信じる訳がないだろう?
  大体親に言える物か!少年院送りになるぞ!」
なんで犯されて被害者であろうあたしが少年院にまで行くんだろう?
パニくった教師は訳が解らない。
あたしだって、親に言う程バカじゃないってのにさ。

 近藤は涙目になり、
「俺には妻も子供もいるんだよ!子供は今年で12なんだ!
 私立の中学受験があるんだよ!」だからなんだよ。
15でアンタに性具にされたあたしは何だって言うのよ。
「頼むよォ」すがりつく中年教師。
さっき迄はなめろだとか、人の下着まで切り刻んでおいて。
「いまのままだったら、お前だってちゃんと高校にいけるんだ!
 バカなマネは辞めなさい!」泣き崩れる近藤を置いて資料室を出た。

夜風に髪を乱されながらきちんと解けた呪縛に胸をなで下ろす。
ホントウは、いつでも逆おどしぐらいかけれると思っていた。
今までしなかったのは、近藤が逆上する可能性がやっぱり、恐かったから。
でも、我慢できなくなった。
ビデオが撮られるまではあたし達は幸せな所にいた。
暴力だったとはいえ、サトルはあたしを守ってくれた。

 久々にサトルに抱かれたくなった。

 次の日。今度はあたしが近藤を呼び出す番だ。
「センセイ、一晩考えたんですけど親に言うなら早い方がいいですよね。
  やっぱ。精子が残ってる内に」と中庭で声をかける。

 「ば・・・ばかな!毎回外だししてるじゃないか!」
コレには驚いた。
教師がまさか、外だしさえすれば妊娠しないとでも、
精子が残らないとでも思っていたとは。
「センセイ、微量でも検出できたら、大変ですよね」
近藤の顔色が見る見る青くなる。

 「校内で、性暴力なんて、大変ですよね。
あたし達は未成年だし、若げの至りで済むかも知れませんよ。
取りあえず名前はでない。センセイは奥さんも子供さんもいるんでしょ?」
 夏でもないのにダラダラ汗を流す近藤。
「それより1日も早く、サトルの謹慎が解けるようにしてくださいな」
「な!?教師を脅すのか?」
「生徒を脅すんですか?手記でも遺しとけば良かった。
 淫行教師との60日間。そうだ、ビデオ、渡してくれますよね」

 サトルの謹慎が解けたのはまもなくだった。
どうやら謹慎期間を延ばし続けていたのは近藤だったらしい。
じゃなきゃ、2ヶ月も謹慎するわけない。

 事もなくビデオも帰ってきた。
あたしは近藤の目の前で焼き捨ててやった。
もちろん他の生徒のビデオも一緒に。
第2のあたしを産んではいけないからね。舞い上がる火の粉。
その日から2度と近藤があたしを見ることは・・・・・なかった。

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