ゴーストライト

「エマ、かえんないのか?」
夜の9時。
エマはまだ家にいた。
「うん。まだ居たいよ〜。原稿上げたんだから
 いさせてよぉ」
「何いってんだよ。親心配すんだろ?」


俺がこんな常識などふりかざしても
何も説得力がないのだが。


「咲ちゃん、今年で何歳?」
「28だけど?」
「エマよりも12年も多くいきてるんだよね」
エマは16才。俺はエマを後ろから抱く感じで
座っている。
「エマの産まれた時は16才だったんだね」
エマの体は暖かい。
なのに次の瞬間エマの言葉に凍り付く。
「とてもじゃないけど、恋愛対象には見れないだろうね」

「なにいってんだよ?エマ?」
「だって、エマも16才下の人をスキに慣れるかなんて、分からないよ」
「エマの12下なんて今4歳のガキじゃんよ〜」
エマの意図が分からない。
エマは時々こんな謎掛けをする。

「今はさ、エマの書いてるのが売れてるから、エマといてくれるんだよね?
 もし、さ。エマの書いてるやつがすっごく売れなくなったら、
 咲ちゃん・・・・どうする?エマが突然書けなくなったら?」
エマのこころが分からない。
広がる不安。
「エマの事、こんな風にしてくれなくなっちゃうでしょ?」
「なんで、そんな事いうんだよ!」
エマの言葉の意味は、俺には考えていなかった出来事だった。
エマはずっとこんなこと考えていたのか?

「エマとセックスしてくれるのだって、エマが
 「原稿料」の代わりに要求したのがセックスだからでしょ?
 もし、エマが無価値になったら?」
「なんで・・・なんでそんなこと・・・」


エマの小説がヒットした時。
俺はエマに原稿料をちゃんと払うつもりでいた。
でも、エマはそれを断った。拒否したのだ。
エマの要求したものは俺とセックスしてほしい、との事だった。
俺はそれを一応承諾したが、でも払うというと、
エマは金銭は絡みたくないと断ったのだ。

「もしそうなったら、サヨナラでしょ!?」
「だからッ!なんでそんな事」
「だって・・・エマ達って好き合って始まった訳じゃないんだよ?
 なにかの役にエマが立つからいてくれるんでしょ?」
エマの言葉が悲しい。
俺はそんなことかんがえてもいなかった。
エマはずっとそれを 考えていたのか?
エマは・・・エマは・・・。
結局エマと一緒にきょうは寝たのだった。

朝。何か不思議な感覚で目覚めると
エマが口でおれのペニスをほおばっていた。
「エマっ!?なにしてんの?」
エマはくちゃくちゃ朝立ちしたペニスをほおばっている。
カリから竿までひとナメして、そのままタマも舐める。
俺の教えた、俺用のプログラム。
それを忠実に適格にしてみせる、にくい唇。


ぱっと、口をはなす。
昨日の言い合いがウソのような笑顔を俺に見せた。
そうだ、エマは喧嘩をしても次の日まで
絶対に引きずらないのだ。
いつも、バツが悪そうにする俺に対していつも通りで
接してくれる。
俺は何度、それに助けられたのか。


エマにとってそれは遊戯だった。
「楽しいこと」の一つに過ぎないように、見えた。
フェラチオさえも。

いつの間にか俺は寝てしまったらしい。
フェラチオされながら寝るとは俺も恵まれたヤツだ。
遠くで女の声がする。
誰だ?
「咲ちゃんなら・・・はい」
「ホントにいいの?あなたは・・・・なんじゃないの?」
「いままで、ありがとうございました」
分からない。
頭が動かない。

ハッと目をさますと11時過ぎだった。
たしか10時に担当の倉田さんと打ち合わせの予定だった。
リビングに行くと倉田さんが 既にソファにいた。
「あ・・・エマちゃんがいれてくれたんです」
「そォか。すいません、俺、寝ちゃってて」
「今日は来月の打ち合わせにきたんです」


普通に打ち合わせはスタートした。
普通に終了しかかって
「そうだ、エマは・・?学校?」
「え・・・?ああ。そう、、、なのかしら」
平日。ここにいないなら学校か。
「昨日、エマと喧嘩して・・・」
「そうだったんですか」
倉田さんはうつむく。


「エマちゃんは、、、好きだったのよ」
「え?」
「今田先生のことが、エマちゃんは好きだったのよ」
「なん・・・で」
俺は固まった。エマが?
「先生とエマちゃんは、何を取り引きしていたんですか?」
「え?あ・・・ああ」
まさか、契約の内容がセックスである、とは言えず
俺は目を反らした。


「あれだけの文章能力ならお金になるハズ。いいえ、自分の名で書きたいはず。
 でも、エマちゃんはお金は要求してこなかったんでしょ?」
俺は固まる。うごけナイ。
「エマちゃんは、お金や、小説を書くことなんて
 本当はどうでもよかったとしたら?
 ただ、先生の「近くにいる理由」がほしかったんじゃない?」
ノドが乾く。言葉を絞り出す。


「でも、エマは・・・そんなこと、一言も」
「先生!もの書きをしていてそんな事もわからないんですか?
 真実は一つではないんですよ。言えない気持ちがあったって何も
 不思議ではないんですよ?」
射すくめられる。
そういえば、いつも、エマは大切なことはいわないコではなかったか?
言えない、といったほうがいいのか。


才能で築いた舞台はいくらでも壊れる可能性を秘めている。
そこには絶対と名のつくものではないのだ。
ソコでかろうじてつなぎ止めた関係。
ずっと居たいと望みつつ、それを口にする事すらできない。
俺はそんな事も理解できなかったのか。

「エマを探しにいってきます!」
夢中で駆け出した。
今日はたしか土曜日だ。
だとしたら
12時か1時ごろには下校するハズだ。
学校は?
学校はどこだろう?
その時、俺はエマの事を何一つ知らなかったことに気が付く。

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